西村良平著『広報・雑誌づくりのらくらく編集術』という書籍を紹介する。 西村良平氏著の『広報・雑誌づくりのらくらく編集術』という書籍は、雑誌編集の基本を知るには良い指南書になると思います。ただし、現在は編集のOA化に伴い、DTPなど、かなりの部分がコンピュータによって編集作業が行なわれています。『広報・雑誌づくりのらくらく編集術』では、書籍発行当時の旧来の方法が記載されています。しかし、編集の基本は変わりませんので、西村良平氏著の『広報・雑誌づくりのらくらく編集術』という書籍の内容は現在でも十分に活用でき

西村良平著『広報・雑誌づくりのらくらく編集術』という書籍を紹介する。

西村良平氏著の『広報・雑誌づくりのらくらく編集術』という書籍は、雑誌編集の基本を知るには良い指南書になると思います。ただし、現在は編集のOA化に伴い、DTPなど、かなりの部分がコンピュータによって編集作業が行なわれています。『広報・雑誌づくりのらくらく編集術』では、書籍発行当時の旧来の方法が記載されています。しかし、編集の基本は変わりませんので、西村良平氏著の『広報・雑誌づくりのらくらく編集術』という書籍の内容は現在でも十分に活用できます。

西村良平氏著の『広報・雑誌づくりのらくらく編集術』という書籍では、企画立案→取材企画→取材原稿執筆→座談会→原稿依頼→写真とイラスト選び→原稿整理→見出しとリードの執筆→目次などの原稿づくり→文字のレイアウト→紙面のデザイン→レイアウトの展開→校正→印刷・製本→予算と完成後の作業という、企画を立て、誌面の構想を考え、実際に掲載するコンテンツを探し、収集し、誌面へのレイアウトを考え、校正刷りで文字校正をし、色校正刷りで色校正をし、印刷所に回して製本するまでの流れの個々の技術について解説してあります。編集作業の基本は、①集める、②選ぶ、③並べる、の三段階を中心とするものだと考えられています。こうした順を追いながら読者へのメッセージをつくりあげる作業をしていくということです。①の「集める」とは、原稿や写真、イラストなどの紙面に掲載する「材料」を集める作業です。原稿を依頼したり、自分で取材に行って、写真を撮ったり記事を書いたり、さらにはイラストを描いてもらうように頼んだりします。②の「選ぶ」とは、集めた材料の中から掲載するものだけを選び、整理する作業です。そして文章の間違いなどをチェックし、より正確で適切な表現にして、紙面に掲載する内容を確定していきます。例えば、写真の場合、一枚の写真の全体を使うのか、あるいは、ポイントになる部分だけなのか、それを決めることになります。③の「並べる」とは、材料を並べて紙面を構成していく作業、すなわち、レイアウトの作業です。文章や写真、イラストを紙面のどこに置くかを決めることになります。また、文章を印刷用の文字を使って組み上げる時に、どんな大きさの、どんなスタイルの文字を使うかなどの指示もします。「情報」をどう「集め、選び、並べる」か、それによって読者へのメッセージをどうつくりあげるかが編集作業のポイントなのです(6頁参照)。

編集作業に入る前に、なぜ雑誌などを発行するのかということがあります。編集の原点は、「どんな情報を」「どんな目的で」掲載するかなのです。①読者に伝えたいことは何か、②読者が知りたいことは何か、の二点をしっかりと考えて企画を立て、そこから「集め、選び、並べる」という作業をすすめていくのです。読まれる雑誌、広報誌、機関紙とは、おそらく、読者に伝えたいこと、読者が知りたいことを漠然とした形ではなく、はっきりと狙いを絞って具体的に提示しているものといえるのではないでしょうか。常に「読者に伝えたいこと」「読者が知りたいこと」をどう紙面に実現すればよいかを考えて、一つ一つの編集作業を着実に積み上げてゴールを目指していった結果が紙面にあらわれることになります(7頁参照)。編集は企画が大切です。企画を立てるというのは、本来、創造的な仕事です。雑誌や広報誌には、読者が見たいものや聞きたいことを読者に知らせる役割があります。読者が求めている情報とはどんなものなのかを知るアンテナを張っておくことが大事です。読者が注目してくれる企画をどのように立てたらよいのか、読者が求めるものと接点を持つ企画をどう立てるのか、その方法は、ステップ1・読者の顔を見る、ステップ2・読者を想定した紙面づくり、ステップ3・「読者代表」を増やす、ステップ4・読者の発想で企画づくり、です(37頁参照)。企画化するには、まず、切り口とねらいを明らかにしていく必要があります。どんな方法で何を読者に伝えるかということです。企画を「切り口」と「ねらい」を含む文章であらわすことで、その柱となるものを明らかにすることができます。「切り口」は、本来、「ねらい」があって考えだされるものですが、逆に、「テーマ(ないしは、ジャンル=領域)」についての「切り口」がどれほどのものであるかによって、ねらいをどこまでのレベルにするかといった再検討が必要になります(42頁参照)。また、問題を立てることにより、これまで気づかなかった色々な変化を追うことで世の中全体の動きをも捉える企画が立つことがあります。企画を考えていって、ある程度の材料がそろったら、ごくおおまかな筋立ても考えてみて、仕上げの紙面をイメージしてみます。最終的にどんな姿で紙面に登場するのか、そのイメージを頭の中で描けるようになったら、企画実現の可能性は高いと言えます(43頁参照)。企画を成立させるための要点を満たしているかどうかは、テーマ、ねらい、切り口、素材、構成を検討することで分かります。企画書を作成する前に、テーマ、ねらい、切り口、素材、構成プラス備考の六項目の一覧表を作り、内容を検討すれば、整理された企画書が作成できます(52頁参照)。

一枚の紙に「企画案」と書き、日付と自分の名前、その後に、「テーマ」「そのねらいと切り口」「内容(素材と構成をひとまとめの文章にしたもの)」を書き、必要があれば、企画を実現する時期や予算についてのあらましを書いておけば、一応は企画書のスタイルになってきます。こうして、いつでも自分が立てた企画を誰にでも分かるような形で提示する作業のパターンを身につけておくのです(55頁参照)。企画力を身につけるには、常日頃から新鮮な材料を感知するアンテナ、価値あるものを見つけ出す目を養う努力は必要です。飛び交う情報を捉え、埋もれた情報を掘り出していくように心掛けることが重要なのです(56頁参照)。

西村良平氏著の『広報・雑誌づくりのらくらく編集術』という書籍では、主に編集作業の細かい技術面が解説されています。しかし、編集技術も大切ですが、それと同等に企画力も重要なのです。