令和5年4月30日、ニュートン別冊『脳とは何か』という書籍を読破した。 非常に面白い書籍でした。脳には、以前から興味があり、学生時代から脳に関する書籍を何冊か読んでいました。私達が何かを考えたり、ひらめいたりするメカニズムを知りたいと思っていました。今回は、脳に関する復習と、最新の脳科学の学習をニュートン別冊『脳とは何か』という書籍を通して学べ、非常に有意義な読書でした。 脳の構造に関して、ヒトの脳の表面は広くしわに覆われている。この“しわしわ”は知覚、思考、運動などを制御する「大脳皮質」だ。しわ

令和5年4月30日、ニュートン別冊『脳とは何か』という書籍読破した。

 

非常に面白い書籍でした。脳には、以前から興味があり、学生時代から脳に関する書籍を何冊か読んでいました。私達が何かを考えたり、ひらめいたりするメカニズムを知りたいと思っていました。今回は、脳に関する復習と、最新の脳科学の学習をニュートン別冊『脳とは何か』という書籍を通して学べ、非常に有意義な読書でした。

 

脳の構造に関して、ヒトの脳の表面は広くしわに覆われている。この“しわしわ”は知覚、思考、運動などを制御する「大脳皮質」だ。しわの模様は完全なランダムではなく、大きなしわ(脳溝)ができる場所は決まっている。大きなしわを境界に、前頭葉などと名付けられた部分に分かれる。脳を前から見ると、基本的に左右対称な構造をしている。脳の表面を覆う「大脳皮質」には神経細胞の“本体(細胞体)”が多く集まっている。一方、脳の内部には、「大脳白質」が広がる。ここには右半球と左半球、脳の中心部と表面など、遠く離れた場所にある神経細胞をつなぐ“ケーブル”(軸索)が張り巡らされている。また、脳の内部にも神経細胞が集まった領域が、左右対称に点在する。これらは「大脳基底核」と呼ばれ、快の感情などに影響している。次に、脳を左右に切断した断面を見てみよう。大脳に覆われた中央部には、「視床」を中心とした「間脳」と呼ばれる部位がある。視床は、嗅覚以外の感覚情報が集まってくる場所だ。視床に集められた感覚情報はその後、大脳へ伝えられていく。視床の下には、「橋」や「延髄」といった部位がある。ここでは、呼吸や心臓のリズムが調節されている。一方、視床の右下方には、大脳よりも細かいしわが無数に入った「小脳」がある。小脳は、眼球、手足の動き、姿勢などを調節する場所である。なお、間脳、橋、延髄は、脳を樹木に例えた時の“幹”に当たる部分なので、まとめて「脳幹」と呼ばれることがある。延髄の先は、背骨に沿って走る神経の束「脊髄」に繋がっている(10頁参照)。そして、脳は、運動や記憶、注意、感情などの様々な情報処理に関わる「前頭葉」、全身から届く感覚情報を処理する「感覚野」などがある「前頂葉」、視覚情報を処理する「視覚野」がある「後頭葉」に分けられる(170頁参照)。

 

脳には、「神経細胞ニューロン)」と「グリア細胞」がある。脳の活動の主役は神経細胞だ。一方、グリア細胞とは、神経細胞の間を埋め、神経細胞の活動を補助する細胞の総称である。グリア細胞は、神経細胞に栄養を供給したり、正常に働かなくなった神経細胞を除去したりしている。神経細胞は、脳の中で互いに“手”を繋ぎ、情報を伝えあっている。神経細胞は、長い突起を使い、神経細胞同士で情報を伝えあっている。細胞内は電気信号、細胞間は化学的な信号(神経伝達物質)を利用する。細胞体からのびる情報受信用の突起を「樹状突起」、送信用の突起を「軸索」という。同じ神経細胞といえども、場所によって形状は大きく異なる(12頁参照)。私達の記憶は、「大脳皮質」に保存されていると考えられている。記憶を作る時に重要な働きをするのが、脳の内部にある「海馬」という部位だ。海馬には視覚や嗅覚などの感覚情報が集められてくる。そして、大脳皮質への記憶の書き込みを助けてくれる。記憶の読み出しにも、一時的に(最大で数か月程度)海馬は必要である。ただし、一定期間が過ぎれば、海馬の助けがなくても大脳皮質にある記憶を読みだせるようになる。海馬は、海馬に繋がる「脳弓」と共に、脳の中央部から左右に向かって螺旋状を描くような、特徴的な形をしている。脳の中央部にある「視床」を取り囲むように位置している。なお、体の動かし方など、言葉にできない記憶は、一部、小脳に保存されていると考えられている(23頁参照)。

 

脳に関する研究が発展した大きな要因の一つにfMRI(機能的核磁気共鳴画像法)という医療機器技術の発展がありました(32、36頁参照)。技術の進化が学問の深化へと結びついたのです。ニュートン別冊『脳とは何か』という書籍で特に興味深い記事は、「人工的な操作で、一時的に能力をアップさせられることができる」という記事です。実験において、健康な人の側頭葉前部の近くの皮膚に電極をあてて電流を流し、右脳を活性化する刺激を与えられたグループの正解率が他のグループの20%に対して、3倍の60%だったとのこと(70頁参照)。この記事を読み、これは使えるのではと思ってしまいました。ここぞというテストの前に右脳を活性化させて高得点を取る。そんな邪心を考えてしまいました(笑)。また、サヴァンの特殊能力は左脳機能障害を右脳が補ったものという仮説があるようです(66頁参照)。特殊能力を持てたとしても、大切な脳機能の何かを犠牲にしなければならないのであれば、特殊能力を持つことが果たして幸せなのだろうかという疑問を感じました。依存症(140頁参照)に関しては、私は、大昔の20年以上前には、煙草を吸い、お酒も嗜んでいたが、20年以上前にきっぱり止め、それ以降、一本の煙草も吸っていないし、一杯の酒も飲んでいないので、私は依存症の心配はないと確信しました。アルツハイマー病に関しては、脳の掃除係であるミクログリアが特に重要だと思いました(102頁参照)。3章の「脳の病気と治療」は、医学書を読んでいるようだった。医療の進歩により脳に関する病気が完治できるようになることを祈る。神経神話(neuromyth)と呼ばれる俗説に関しては、OECD経済協力開発機構)において、一掃すると警鐘を鳴らしており、本書内で挙げられた様々な神経神話への検証を読んで、しっかりと正しい知識を持たなくてはならないと感じました(168頁参照)。

 

私自身、ある程度の年齢になったら頭脳で勝負せざるを得なくなる。自分の脳と適切な関係を築き、自分の脳を成長させていきたいと思っている。2章の「天才の脳」は非常に参考になった。「棋士の脳から直観を生む脳内のルートをさぐる」という話題は、2022年5月11日にNHKで放送されたヒューマニエンスQ『“天才”ひらめきのミステリー』という番組でも同様の話が語られていた、直観的思考課題では、プロ棋士とアマチュア棋士に将棋盤を1秒間だけ見せて、次の手を四つの選択肢から2秒以内に答えてもらった。するとプロ棋士の脳でのみ「大脳基底核」という領域が活動していた。つまり、プロ棋士の脳では、楔前部で理解して、その活動と連動して大脳基底核が働き、次の一手を決めていることになる(72頁参照)。高度な能力というイメージがある直観とは、進化的に“新しい脳”の大脳皮質から、より“古い脳”の 大脳基底核に作業場が移行した思考回路によって生み出されるのかも知れない(74頁参照)。余談ではあるが、2022年5月11日にNHKで放送されたヒューマニエンスQ『“天才”ひらめきのミステリー』という番組では、アインシュタインの脳は、一般の人よりもグリア細胞が1.7倍多かったと紹介していた。これが天才の秘密なのかも知れない。

 

脳と睡眠に関して。私達が目覚めて活動している時は、その時々で必要なこと以外に注意が向かないよう、必要な脳内の神経ネットワークのみが選ばれ、他の不要な情報は意識にのぼらないように抑えられている。ところが、夢をみる睡眠(レム睡眠)の中では、この抑制が外れ、おきている間には結合が抑えられていた神経細胞もネットワークに組み込まれている可能性があるという。これらの神経細胞の活動によって、目覚めている間は繋がりあうことのなかった記憶同士が繋がり、通常では考えつかないような記憶の組み合わせが生じて斬新なアイデアがひらめくのではないか、というのである(58頁参照)。これに関しては、2022年5月25日にNHKで放送されたヒューマニエンスQ『ヒトは眠りで進化した?』でも同様のことが語られていた。2023年4月28日にNHKで放送された『チコちゃんに叱られるー枕がかわると眠れない理由-』の中で、睡眠時における「デフォルト・モード・ネットワーク」について紹介し、脳のエネルギー消費は体全体の約20%のエネルギーを消費し、このデフォルト・モード・ネットワークが関係している可能性があると紹介していた。デフォルト・モード・ネットワークは、ニュートン別冊『脳とは何か』という書籍でも記載されていて、安静時であっても、大脳皮質のいくつかの領域の神経細胞は、むしろ活発に活動していることが分かってきているという。大脳皮質とは、脳の外側を覆っているしわの部分で、感覚情報を処理したり、動きを制御したり、言葉を話したり、物事を記憶したりと、人の高度な機能に関与している。この安静時の神経細胞の活動は、基底となる活動という意味で、デフォルト・モード・ネットワークと呼ばれる。脳が消費する半分以上が、この活動によって消費されているとも言われている(169頁参照)。ちなみに、2022年5月11日にNHKで放送されたヒューマニエンスQ『“天才”ひらめきのミステリー』でもデフォルト・モード・ネットワークは紹介されていた。

 

「損得勘定の脳科学」という記事も面白かった。行動経済学という視点から意思決定のプロセスを述べている。プロスペクト理論において、①参照点依存性(絶対値ではなく、基準と比較した変化の大きさで価値を判断する性質)、②損失回避性(損失を利得よりも重く評価する性質)、③感応度逓減性(絶対値が大きくなるほど、利得の変化あたりの満足度が下がる性質)、があります。本書では、価値関数と確率加重関数を挙げて説明していました。価値関数における、損失関して、実際の確率よりも2.25も低く確率を見積もってしまう性質。非常に面白かったです。

 

しかし、読む本、読む本、下品な排泄物に関する記載が必ずある。まるで、三十年以上も、朝から晩まで、四六時中、私に黙って、陰でこそこそと勝手に私の家をのぞき、ストーカーしている卑怯者の寄生虫連中が私が読んでいることを知って、本を差し替えているように思える。

 

本書において、誤植があり、81頁のマッチ棒の数式問題の問題3の解答における「6-6-6」は「9-6-3」の間違えであろう。

 

いつもながらニュートン別冊『脳とは何か』という書籍はビジュアルも満載で分かりやすく非常に面白かったです。本書に拠ると、60代までは様々な知能が上昇する傾向にあるようなので(167頁参照)、たくさんの書籍を読み、新たな知識を吸収、まだまだ、自分の脳を成長させ、常に昨日の自分よりも成長した自分になっていきたいと思います。