海老塚利明監修『内部監査の実務Q&A(第二版)』という書籍を紹介する。 監査には「三様監査」というものがあります。三様監査とは、公認会計士監査、監査役監査、内部監査の三つの監査の総称です。監査役監査は商法(現・会社法)に基づく強制監査、公認会計士監査は証券取引法(現・金融商品取引法→第四十三条の二、第百九十三条の二、第百九十三条の三など)に基づく強制監査、内部監査は内部監査規程に基づく任意監査です(28頁参照)。この海老塚利明氏監修の『内部監査の実務Q&A(第二版)』という書籍の出版以降に「日本版SOX

海老塚利明監修『内部監査の実務Q&A(第二版)』という書籍を紹介する。


監査には「三様監査」というものがあります。三様監査とは、公認会計士監査、監査役監査、内部監査の三つの監査の総称です。監査役監査は商法(現・会社法)に基づく強制監査、公認会計士監査は証券取引法(現・金融商品取引法→第四十三条の二、第百九十三条の二、第百九十三条の三など)に基づく強制監査、内部監査は内部監査規程に基づく任意監査です(28頁参照)。この海老塚利明氏監修の『内部監査の実務Q&A(第二版)』という書籍の出版以降に「日本版SOX法(=J-SOX法)」が制定されました。しかし、「日本版SOX法」という呼び名は俗称で、実際には証券取引法の抜本改正である「金融商品取引法」の一部規定がこれに該当します。同法では第二十四条の四の四で「有価証券報告書を提出しなければならない会社のうち、金融商品取引所に上場している有価証券の発行者である会社その他の政令で定めるものは、事業年度ごとに、当該会社の属する企業集団及び当該会社に係る財務計算に関する書類その他の情報の適正性を確保するために必要な体制について評価した報告書(内部統制報告書)を有価証券報告書と併せて内閣総理大臣に提出しなければならないこととする。また、内部統制報告書には、公認会計士又は監査法人の監査証明を受けなければならないこととする」と定めています(ネット内・「@IT情報マネジメント用語辞典」参照)。「日本版SOX法」は財務報告に係る内部統制の評価と報告を義務付けるものです。では、内部統制とは何でしょうか?内部統制は、①業務の有効性および効率性、②財務報告の信頼性、③事業活動にかかわる法令の遵守、④資産の保全、です。この4つの目的が達成していることを保証するために、企業集団の業務に組み込まれ構築され、派遣や臨時雇用の従業員など企業集団内のすべての者が業務の中で遂行するプロセスをいい、(1)統制環境、(2)リスクの評価と対応、(3)統制活動、(4)情報の伝達、(5)モニタリング(監視活動)、(6)ITへの対応の六つの基本要素で構成されています(ネット内・「@IT情報マネジメント用語辞典」参照)。


再び、海老塚利明氏監修の『内部監査の実務Q&A(第二版)』という書籍における三様監査の比較に戻ります。監査の範囲に関して、監査役監査は会計監査、業務監査、公認会計士監査は会計監査、内部監査は会計監査、業務監査。主体・身分に関して、監査役監査は役員(株主と委任契約関係にあります)、公認会計士監査は経営外部者(会社と準委任契約関係にあります)、内部監査は従業員(会社と雇用関係にあります)。監査上の着眼点に関して、監査役監査は決算整理事項、公認会計士監査は決算操作(利益の過大表示も過小表示も不可)、内部監査は業務の合法性および合目的性(能率性)などです(30頁参照)。次に、海老塚利明氏監修の『内部監査の実務Q&A(第二版)』という書籍における「内部統制システムの運用と内部監査の役割」について述べます。内部統制とは企業の資産を保全し、会計記録の正確性と信頼性を確保し、かつ経営活動を総合的に計画し、調整し、評定するために、トップが設定した制度・組織・方法および手続を総称したものとすれば、内部統制システムは経営の総合的管理に対して、トップが自己の責任を果たす上で重要な機能をもっていると考えられます。そして内部監査はこの内部統制システムの一環を形成するとともに、かかる内部統制システムの妥当性と有効性について検討・評価を行なうことにより、内部統制が意図されたとおり運用され機能しているかを確かめる必要があります。なぜならば、もともと内部統制システムの担い手は人間であり、したがって内部統制がいかに良く整備され、かつ運用されているとしても、その間における人間の不注意や誤解などによって正当に機能しなくなる場合がありえますし、また当初から予定された、あるいは組み込まれた方法以外の方法で取引や行為がなされた場合には、それを内部統制システムによるコントロール下におくことができないからです(6頁参照)。


次に経理規程・業務規程ならびにその実施細則などが、合理的にして合目的な方向に制定されていても、これらが関係者に周知徹底されなければならないし、確実に遵守されていなければなりません。内部監査の実施対象は、その性質により、企業資産の保全のための内部統制システムないし会計記録の正確性と信頼性を確保するための内部統制システム、いいかえれば資産管理ないし会計管理的側面に関するものと、業務管理的側面に関するものとに大別され、資産管理状況ないし会計管理状況のチェックに重点をおく場合には会計監査と称し、業務管理状況のチェックに重点をおく場合を業務監査として、両者を区別するのが一般的です。しかし、理論的にはともかく、監査実務面においては容易に区別できるものではなく、会計監査は業務監査の一環として行なわれる場合が多いようです(7頁参照)。


内部監査とは代表取締役の下に置かれる業務のチェック機構であります。日常業務のチェック・アンド・バランスを保つために置かれています。その役割は、日常業務が円滑に行われることに他なりません。