令和4年6月12日、ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランド共著、上杉周作、関美和訳の『ファクトフルネス-10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣-』という書籍を読破した。 ここ数年、本当に仕事が忙しく、ほとんどの土曜日、日曜日さえも自宅で仕事をし、仕事か疲労回復のための睡眠という生活を送っていたので、久々に読書ができた。読書は本当に楽しい。 まず、この書籍では、冒頭で10個のクイズが出題されます(8頁参照)。そのクイズに対して多くの人が間違える。様々な

令和4年6月12日、ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランド共著、上杉周作、関美和訳の『ファクトフルネス-10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣-』という書籍を読破した。

ここ数年、本当に仕事が忙しく、ほとんどの土曜日、日曜日さえも自宅で仕事をし、仕事か疲労回復のための睡眠という生活を送っていたので、久々に読書ができた。読書は本当に楽しい。

まず、この書籍では、冒頭で10個のクイズが出題されます(8頁参照)。そのクイズに対して多くの人が間違える。様々な国の、様々な分野で活躍する人々に出題してきた。医学生、教師、大学教授、著名な科学者、投資銀行のエリート、多国籍企業の役員、ジャーナリスト、活動家、そして政界のトップまでも間違える方が多い。何も知らないというよりも、みんなが同じ勘違いをしているといった方が近い(16頁参照)。当てずっぽうに解答したチンパンジーにさえ負けるであろう正解率なのである。誤答する原因のひとつに「ドラマチックすぎる世界の見方」 がある。世界のことについて考えたり、推測したり、学んだりする時は誰でも無意識に「自分の世界の見方」を反映させてしまう。世界の見方が間違っていたら正しい推測はできない。「ドラマチックすぎる世界の見方」を変えるのはとても難しい。その原因は脳にあるからだ(21頁参照)。世界はあなたが思うほどドラマチックではない。健康な食生活や定期的な運動を取り入れるように、「ファクトフルネス 」という習慣を毎日の生活に取り入れて、訓練を積めば、ドラマチックすぎる世界の見方をしなくなり、事実に基づく世界の見方ができるようになる(24頁参照)。

これはメディアリテラシーにも関わる問題である。メディアや活動家は、あなたに気づいてもらうために、ドラマチックな話を伝えようとする。そして、悪いニュースの方が、良いニュースや普通のニュースよりもドラマチックになりがちである。また、なんらかの数字が長期的には伸びていても、短期的に落ち込むことがあった場合、それを利用して「危機が迫っている」という筋書きを立てるのは容易い。世界はオープンになり、人々はネットで繋がり、報道の質も上がった。悪いニュースは、以前よりずっと広まりやすくなった(91頁参照)。ニュースで報じられている内容をそのまま鵜呑みするのではなく、本当にそうなのであろうかと疑い、自分なりに検証して、ニュースを自分の中に有用な情報に変換して取り入れることが重要なのである。参議院選挙直前に政治家のスキャンダルが起きた。このニュースは本当なのだろうか?そういえば、過去に米国でも大統領選挙中にヒラリー候補のスキャンダルが報じられたこともあったな。ニュースの背後にあるもの。そういう背後にある一連の要素を加味して解釈することが求められるのであろう。

事実に基づく世界の見方を阻害する要因は、分断本能、ネガティブ本能、直線本能、恐怖本能、過大視本能、パターン化本能、宿命本能、単純化本能、犯人捜し本能、焦り本能の10個である。そして、分断本能を抑えるには、大半の人がどこにいるのかを探す、ネガティブな本能を抑えるには、悪いニュースの方が広まりやすいと覚えておく、直線本能を抑えるには、直線もいつかは曲がることを知っておく、恐怖本能を抑えるには、リスクを計算すること、過大視本能を抑えるには、数字を比較すること、パターン化本能を抑えるには、分類を疑うこと、宿命本能を抑えるには、ゆっくりした変化でも変化していることを心に留めること、単純化本能を抑えるには、ひとつの知識が全てに応用できないことを覚えておく、犯人捜し本能を抑えるには、誰かを責めても問題は解決しないと肝に銘じること、焦り本能を抑えるには、小さな一歩を重ねること(325頁参照)、であり、これらの考え方を日常から実践し、習慣づけ、事実に基づく世界の見方ができるようになることがファクトフルネスである。

私も事実に基づく世界の見方をするように気をつけ、バイアスや固定観念によって誤った解釈をしないように心掛けたいと思います。真実を基に解決策を熟慮し、建設的な方策によって明るい未来を切り拓いていきたいと思います。